パチンコ屋に行けば行くほど財布の中から諭吉さんが勢い良く飛び立っていく。
飛び立つ諭吉さんを絶望のまなざしで幾度となく見届けようが、ほとぼり冷めやらぬ頃に、自然と足がパチンコ屋に向いている。
そんなどうしようもなくパチ○カスの僕が、漫画でも読んで気を紛らわそうとたまたま入った本屋さんで、入店直後にズバっと視界に飛び込んできたこの本。
「パチンコ屋に学ぶ経済学 5万円負けた客が、明日もまた来る理由/伊達直太+人生戦略会議/WAVE出版」
理論的な必勝法が書かれているのか、はたまたパチンコ批判満載で依存症から抜け出すきっかけを与えてくれる本なのか、内容を対して調べぬままとにかくワラをもつかむ想いで購入。
ちなみにパチン○スっぷりを披露した記事はこのあたり。
https://www.kangaeruoyaji.net/415214470/
著者が冷静な視点で、パチンコと経済学を結ぶ本
著者の伊達直太氏は中学~高校時代をアメリカで過ごし、帰国後出版社勤務を経て現在フリーランスで活動中。
アメリカには(いや、世界中でも)存在しない、日本のガラパゴス的文化であるパチンコ(パチスロ)というギャンブルに夢中になりつつも、パチンコ屋というプレイスを経済学を学ぶのに適した空間であるとした着眼点から、氏の冷静沈着な人柄がうかがえる。
そんな著者が、「攻略法」や「必勝法」といった射幸心を煽るばかりで根拠の無い理論を真に受けず、パチンコ屋のお客を離さない経営術を経済学的に分析して今後に生かす為の術を教えてくれる、簡単に紹介するとそんな本です。
第一話~第七話までの構成で、まあまあのボリュームがありますが読みやすく、パチンコやパチスロをされる方なら当然尚わかりやすい内容となっているので、案外すんなり読めてしまうと思います。
パチンコにもブログ運営にも使える経済学
どうしても難しそうな印象を受けてしまう「経済学」を、パチンコという世間からは批判的な目で見られがちなギャンブル(著者的に言わせると「富士山や歌舞伎と甲乙つけがたい日本の誇るべき財産(p.002)」らしいが)に絡めて述べられているのは面白くもあり、たまに「それは無理矢理すぎね?」と突っ込みたくなるような絡め方もあったり。
しかし、経済学を常に意識する事で、「波」や「運」・「思い込み」といった非理論的な怪しい何かに惑わされずに済むという考えに、非常に共感を覚えます。
経済学の専門用語も多く(とは言え自分は全くと言っていいほど経済学に対して無知ですが)、経済学を本格的に学ぶきっかけとして役に立つんじゃないかな?と。
個人的には「ロングテールの法則」なんて、ブログを持った事のある人なら割と馴染みのある用語もあり、今後のブログ運営にも役立てる事ができそうだな、と感じました。
ロングテールの法則
需要が少ないニッチな商品や、知名度が低いマイナーな商品、「死に筋」といわれる不人気商品群でも、チリも積もれば、全体の売り上げの中で大きなウエイトを占めることがある、という法則(p.079)
1日のPV数(ページビュー数、即ちブログに於ける閲覧者が読んでくれたページの総数)が5000pvある特定の人気記事も勿論大事だが、例えば1記事10pvしか稼げない記事でもそんな記事が1000記事もあれば10000pvにもなる・・・ブログやサイトに例えるとこういう事です。
とにかくわき目も振らずに記事を増やす事に集中するのも、ブログを強くする為に大事な事なわけですね。って話が逸れました。
パチンコのヒット機種が生まれる過程も、経済学的な理論で語られているのが面白いです。
イノベーション普及学の著者ロジャースが述べた普及率16%の法則。
これはまず、新商品が発売された時に、それを購入する消費者を購入が早い順に5段階に分けるそうです。
イノベーション普及学
・イノベーター(革新的採用者/2.5%)
・オピニオンリーダー(初期少数採用者/13.5%)
・アーリー・マジョリティ(初期多数採用者/34%)
・レイト・マジョリティ(後期多数採用者/34%)
・ラガード(伝統主義者/16%)
これをパチンカーに置き換え、新台に飛びつくイノベーター、新台のスペックや打ち方を調べ始めるオピニオンリーダー、関心だけ示すアーリーマジョリティ、気にせずいつもの台を打つレイトマジョリティー、新台なんか全く気にしないラガード。
その新台が今後ヒットするのかどうなのかは、全体の16%を超えるオピニオンリーダーが支持するかどうかに懸かっているというわけです。
オピニオンリーダーは、ただの新台ならなんでもいい新台オタクであるイノベーターとは違い、その新台の内容に興味を持ち始める人たち。
次の新台が発売されたらさっさとそっちへ流れていくイノベーターとは違うわけです。
ここ(オピニオンリーダー)に売り込む事が、新台をヒット機種にしていく要であるという事です。面白いでしょ?
こんな人にオススメ!
小難しい法則や理論も、慣れ親しんだパチンコに関連付けて書いてあると分かり易いし、覚えやすい。
パチンコ屋で負けが込んで熱くなり、「もう少しで出るはず!」とか「隣が深くハマってるからこの台は出るかもしれない」なんて、なんの根拠も無い自分理論を振りかざして、いつのまにやら諭吉が何人も居なくなるような人に是非オススメ!(・・・アレ?お、俺じゃね・・・?)
いや、むしろパチンコ以外のあらゆるシーンで経済学は役立ちます。
今自分はどうしたらよいのか?
経済学的に考えて自分の利益になるのはどちらの選択か?
このような冷静沈着な考えを自然と身に付けることができるかもしれない、そんな本ですね。
てことで以上です!
しろうめず@ShiroUmezでした。
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