「最悪、お姉ちゃんの意識はこのまま戻らないかもしれない。」
医師のその言葉を聞き、僕の頭の中にあった全ては一瞬のうちに吹っ飛び、真っ白になりました。
40度近い高熱で寝込んでしまった3歳になったばかりの長女を連れ、かかりつけの病院へ駆け込んだのは去年6月初旬の事。その時、最初に診断していただいた時の病名は感染性胃腸炎、いわゆる胃腸が弱ってしまうただの「風邪」という事でした。
幼い子供はちょっとした風邪でも高熱が出るもんだという意識が僕にも妻の頭にもあったので、薬飲んで寝てればそのうち治るだろうと、いつも通り軽く考えていたのです。
しかし、2日経ち、3日経っても40℃近い高熱が何故か治まらない。
かかりつけ医~大病院へ
4日目、心配で顔を覗き込んでいると、様子がおかしい。
黒目がスーっと右上に上がっていって白目になったり、意味不明な言葉を発するようになったのです。
抱っこしてるのに「お父さん抱っこー!」と泣きわめいたり・・・。
高熱のせいで幻覚でも見てるのかなと思いながら抱っこしているお姉ちゃんの顔をふと見ると、目をこれでもかってくらいひん剥いている。
沢山の汗をかき、体中に力が入り、全力で父を抱きしめている。
これはまずい。そこで初めて、娘がひきつけを起こしている事に気付き、再びかかりつけの病院へ。
「これはちょっとウチ(の病院)では手におえない。大病院の紹介状を書くので、今すぐ連れて行きなさい。」
・・・え、どういう事?
僕も妻も事態の把握ができないまま、苦しそうに呻いている長女を車に乗せて、紹介された大病院へ向かいました。
診断結果は「急性脳症」
到着するとすぐに僕たちの元から隔離されて検査を受ける長女。同時に入院の準備をするように伝えられ、一旦自宅に戻り準備をする妻。
そして僕、検査結果を待つ事2時間弱。
「急性脳症」という病気である事、このまま意識が戻らない可能性もある事、戻っても障害が残る可能性がある事などを、主治医の先生が教えてくれたのでした。
意識の戻らない娘の眠るベッドの横で、スマホ片手に必死にググりました。
「急性脳症」「入院」「障害」「確率」「髄膜炎 急性脳症」「急性脳症 年齢」「急性脳症 障害 確率」・・・etc.
涙が止まりませんでした。
せっかくググったサイトやブログもまともに読むことができませんでした。
一夜明けて
翌朝ふと気付くと、ボンヤリと虚ろではあったけど、目を開け僕をじっと見つめていた長女。
すぐに僕は必死で話しかけました。どっか行きたいとこはあるか?今何がしたい?何が欲しい?
うわごとのようにだけど、しっかりと僕に「本屋さんに行きたい」と意思を伝えてくれた長女。心から安堵した瞬間でした。
主に点滴で投薬し、次第に回復していく娘。
入院3日目には呂律の回らなかった口元もハッキリと治り、点滴をしながら院内の遊技場へ遊びに行きたがり・・・。
入院から約10日間で無事退院。
その後は何事も無かったかのように、元気に、健康に育ち、今春保育園に入園します。
追記/2015.5.14/悩みや心配事は絶えませんが、その後無事成長しています。
手作りチョコレート
そんな長女が昨日2月14日、仕事を終えて帰宅した僕に、満面の笑顔でチョコレートを手渡ししてくれました。
お母さんと一緒に手作りしてくれたそうです。
長女曰く「ちゃんと、お昼寝してから食べてね!」と。
お母さんに言われた事を僕にそのまま伝えてきたのでしょうけど、思わず爆笑してしまいました。
この年のバレンタンデーは、初めて長女に手作りチョコを貰った、最高のイベントとなったのでした。
追記2015.8.14)【関連記事】当時の様子を日記を見ながら詳細にまとめてみました。